沈黙の病気に勝つ
かつては歯槽膿漏と呼ばれていた歯周病は、「沈黙の病気」と呼ばれるくらい痛みもなく、進行していることも気づきにくい病気です。
しかし、日本の推定患者数は9千万人ともいわれ、30~50歳代では80%の人がかかっているという国民病なのです。
これは口の中にいる歯周病の原因菌が、歯と歯茎の間から歯肉に入り、歯を支えている組織に炎症を起こし、最後には歯が抜けてしまう病気です。
正しい歯磨きの習慣がなく、甘いお菓子などの間食が多く、柔らかい食べ物ばかり食べ、よく噛む習慣がないとプラーク(歯垢)がどんどん増えて、歯周病になってしまいます。 また、そうなると多くの人が口臭の問題が見受けられます。
歯周病は糖尿病とも深い関係があります。どちらも生活習慣病で糖尿病患者の人が歯周病にかかっていることも多く、重症化しやすいとも言われています。 初期段階なら、自宅できちんと歯磨きすれば完治するだけに、早めのケアが肝心です。 歯磨き習慣、正しい食生活、禁煙、ストレスを減らす、など、生活習慣全般を見直すことも予防には大切です。
どのような症状が出るのか、チェックしてみましょう。
チェックポイント
- 歯ぐきが赤い
- 歯ぐきがむずがゆく、歯が浮く感じがする
- 歯磨きしただけで、歯ぐきから出血する
- 朝起きたら口の中がネバネバする
- 歯ぐきが赤く腫れ、ブヨブヨしている
- 何もしないのに歯ぐきから出血する
- 歯が浮いて食べ物が噛めない
- 冷水でうがいをするとしみる
1~3にあてはまる人は初期段階と言えます。
4~6は中期段階。自分で歯磨きするだけでは治りにくい状況です。
7と8は日常生活に不便を感じるほど進行しているといえます。
予防で一番大切なのは、プラークを除去することです。
食後すぐに歯を磨くのが理想ですが、難しいのが実情なので、重視したいのは就寝前の歯磨きです。睡眠中は唾液の分泌が減り、自浄作用が低下する為、一番歯周病菌が増えやすい状態になります。 歯ブラシを軽く持ち、毛先を歯に直角にあて細かく振動させ一本一本磨くつもりで丁寧にブラッシングしましょう。 歯と歯ぐきの境目や奥歯は、歯ブラシの向きを変えるなどして念入りに磨きましょう。歯間ブラシやデンタルフロスを使う事もお勧めしています。
自宅で出来るケアはここまでです。
しかし、自分でケアをしていても、プラークが取りきれず、歯石が出来る事もあります。 「きちんと予防するには、半年に一回は定期検診に行き、歯石を除去することが望ましい」と専門家はアドバイスしています。